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6-10

Category: JOY  

「先輩の単独事故なんだけど、原因がハンドル操作の誤りとか動物が飛び出したんだろうとか言われてね」

「私、隣に乗ってて一緒に事故に遭ってるのに、記憶がないの」

「私しかわからないことなのに、覚えてないの」


 ……?


「絶対、先輩のせいじゃないのよ。私が乗ってるのにそんな乱暴な運転するはずないのよ」
「警察にも何度も言ったの。先輩のせいじゃないって。でも聞いてもらえなかった」
「車だって潰れてしまって検証なんかできなかった」


 ……え?


「直前までは思い出せるの。前に遅い車がいたの。でも峠だから追い抜いたりしない」
「先輩はそんなことしない。雨が降り始めてたから絶対そんなことしない」
「でもその後からもう記憶がないの」


 待ってよ、浅井さん


「先輩、死んでしまったから何も言えないのに、私しか知らないことなのに、」
「私が思い出さないから事故が先輩のせいになってしまったの」
「私が思い出さなきゃいけないのに」


 なんだよ……


「思い出せないの」
「絶対先輩のせいじゃないのに」
「絶対他に原因があったはずなのに」



 事故の原因?先輩のせいじゃない証明をしたいの?
 突然恋人を失って悲しい自分はどこにいったの?
 まさかそんなことにすらまだ気付いてないの?




「それでね、」
 浅井が話を続けようとしたが、大沢の身体から力が抜けたのが分かったのでその顔に目をやった。
 大沢は右手の甲で両目を覆っていた。
 浅井は首を傾げて、その顔を覗き込んで、上げている右腕を掴んだ。

 大沢は泣いていた。

「大沢君」
「すみません。俺が泣くのも筋違いっていうか、だけど、」
 大沢が泣きながら、少し笑った。


「先輩、浅井さん残していくの、辛かっただろうなって思って」
 そして大沢が大きくため息をついた。
「きっとずっと浅井さんと一緒にいたかったんだろうなって」


 死んでしまってもう10年も経つのに、いまだに自分の悲しみそっちのけで事故の責任なんてこと考えてるような彼女。
 残していきたくなかっただろうな。
 可哀想だな。先輩。


 大沢が涙を拳で拭うと、浅井がトランクスに手をかけていた。
「えっ……?!」
 ジーンズはとっくに脱がされて放り出されている。
「あっ……浅井さん……!」
「私に触らないで」
 浅井の左手が大沢の首元を押さえている。
 そして下着に手を差し込まれ、大沢が息を飲んで顔を背けた。
 ついさっき全身で脱力したばかりなのに、浅井の動作一つで大沢はまた熱くなってしまう。また簡単に呼吸を増やしている。
 そして下着もむりやり下げられ、大沢は喉の奥から、くっ、と声を出した。

 無理だ、耐えられない。
 浅井は腰のあたりを撫でている。。
 まずいだろ。どうするんだよ。大沢は焦りながらも気持ちの昂りに抗えない。もう荒い息も隠せない。
 ただ、目は閉じていた。
 薄明かりの中、今の自分の状態は見るに耐え難い。
 苦しい。苦しい。

 浅井の手が足を滑る。

 大沢の身体を仰向けにさせる。

 両手が腰の左右に置かれる。

 両手?

 手?

 手じゃない

 手じゃない!

 両脚……!

 大沢が目を開けた時に、強く熱い圧迫を感じた。
 同時の強い快感で上半身を跳ね上げ、浅井の体をかき抱いた。


 薄明かりの中、上にいる浅井の体を強く抱きしめ、熱と圧の一番奥に押し込んだ。

 たったそれだけで、終わった。



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