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※県体育館での観戦と芸術劇場での観劇を終えた二組が喫茶店で合流しました。






「あら、先生。この度は貴重なチケットをたくさんありがとうございました」
「いえいえ、私はどうも苦手ですから楽しんでいただける方にご覧いただいた方が先方も顔が立つでしょう」
「そうですか?」
「私は毎年寝てますからね。それよりよほどいいでしょう。それにこちらこそ意外にプレミアチケットだったようで恐縮です」
「まぁ、そうですか」

「先生、ありがとうございました。すごく良かったですよ」
「そうか。すごいな、果維。終わるまで目開けてたんだな」
「全然寝る余裕なんかないですよ!すごかったですよ!最初からすごかったですよ!」
「そうか?」
「そうですよ、先生。照明が消えて真っ暗になって、まず楽団の音が鳴るんです。僕鳥肌立った」

「……だよね。体育館でも急に暗転して大音量で響くあのテーマ曲聴いた時が、僕も一番興奮したかな」
「ああ。あれなぁ。誰が作った曲なんだろうな。天才だな」
「選手の入場曲はどれもかっこいいですけど、やっぱ時代性がありますよね」
「最年少のオカダがさすがに今時のアレンジだよな」
「僕は後藤のが好きです」
「あーあああー、ってやつか。俺は中邑の曲が傑作だと思うよ」

「衣装が可愛かったよねー!」
「そうそう!あの膨らんだスカートとか!」
「モフモフのファーとか!」
「形が崩れない長いリボンとか!」
「色が可愛かったー!パステルでー!」
「刺繍とかレースとか、気が狂いそうな細かさだったー!」

「赤のコスチュームが多いですよね」
「華やかだからな」
「昔からそうですか?伝統的に?」
「伝統ってこともないだろ。蝶野は黒だったし」
「蝶野はヒールじゃないですか」
「ヒールは伝統的に黒かもな」

「声が綺麗だったね!」
「ね!それにすっごく上手なの!」
「あんな歌聴いたことない!」
「ダンスもねー!スカートのドレープが流れるみたいだった!」
「本当に本当のプロってこういう人たちなんだね!」

「AJのジャンピングエルボーは芸術だな」
「ああ。トップロープからのスワンダイブですか。あれかっこいいですね」
「オカダのドロップキックもな。柴田の低空ドロップと。金の取れる技だよなぁ」
「そうですね。プロですね」

「やっぱり小さい頃からずーっと勉強してきたんだよね。この人、宝塚出身だって」
「ほら、この人とか海外留学してるよ」
「すごいね。舞台一筋で脇目も振らずに精進しなきゃこんなに上手くならないよね」
「尊敬しちゃうね」

「しかし、よくプロレスラーになるなんてことを親が許しましたよね」
「また親目線か。お前さてはどこかに隠し子でもいるのか?」
「……」
「黙るなよ」
「……いや、だって、ほらこの人、京都出身の青学卒ですよ。普通に社会に出る気はなかったんでしょうか。レスリング道場に入門なんて親反対しなかったんですかね?」
「まぁそれだけ実績と自信があったんだろうな。しかしそれよりこっちだろ。中卒でメキシコに渡ってレスラーになって凱旋してきていきなりベルト奪取でチャンピオンって、どんなアメリカンドリームだ」
「アメリカじゃないですけどね。確かに現代日本の若者の経歴とは思えないです。この彼、ゆとり世代らしいですよ」
「ゆとりの賜物なのか。金の雨は」

「また観たいって思っちゃうね」
「うん。また観に行こう、絶対!」
「次何観る?」

「決勝、この二人になりそうですよね」
「そうだとすごいよな。決勝が同門対決か」
「西武ドームです。いい席はもうソールドアウトらしいです」
「当日券はあるだろ」
「先生、行くんですか?」
「お前は?」



「絶対だめっ!」
 美姫が立ち上がって叫んだ。






       終






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